処分制限期間の一覧は、省庁ごとに告示や省令の別表として公表されています。ただし、エネルギー設備の補助金では、年数を実際に決めているのが補助金ごとの交付規程である場合があり、そのときは省の一覧表を引いても答えに着きません。
たとえば経済産業省には処分制限期間を定めた告示がありますが、環境共創イニシアチブ(SII)が執行する令和7年度補正予算の省エネ補助金の交付規程は、その告示を引かずに「減価償却資産の耐用年数等に関する省令…に定められた期間」と書いています。環境省については、本記事で確認した範囲では省としての年数表が見当たらず、補助金ごとの交付規程で定めていました。同じ「処分制限期間」でも、見るべき書類は補助金によって違います。
この記事では、主な省庁の年数表がどこにあるかを一覧にしたうえで、エネルギー設備の補助金で実際に見るべき書類、太陽光発電設備の扱い、起算日の数え方の違いを整理します。記載は2026年10月時点で確認できた公表資料に基づきます。処分に当たる行為や、国庫に納める額の決まり方は、補助金で入れた設備を、処分制限期間内に売る・移す・捨てるときで解説しています。
まず結論——年数を決めている書類は3つの型に分かれる
根拠は補助金適正化法施行令(昭和30年政令第255号)第14条第1項第2号です。処分の制限が外れる場合として「補助金等の交付の目的及び当該財産の耐用年数を勘案して各省各庁の長又は補助実施法人の代表者が定める期間を経過した場合」を挙げています。
この条文は年数を決める主体として、各省各庁の長のほかに補助実施法人の代表者も挙げています。補助実施法人とは、施行令の別表に列挙された独立行政法人等(新エネルギー・産業技術総合開発機構など)のことで、その代表者が期間を定めるときは、施行令第14条第2項が準用する第9条により所管大臣の承認を受け、大臣は財務大臣に協議します。本記事で取り上げるSIIや環境イノベーション情報機構のような執行団体は、この別表には載っていません。これらの団体の交付規程は、補助金ごとに処分制限期間の定めを置いています。
出典:「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令」(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/330CO0000000255)および本記事で引用した各省庁の告示・省令・交付規程をもとにエネ補助金ガイド作成
| 年数が書かれている書類の型と、その例 |
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| 型A 省の告示の別表 経済産業省(令和5年経済産業省告示第64号)、厚生労働省(平成20年厚生労働省告示第384号)、文部科学省(平成14年文部科学省告示第53号)、こども家庭庁所管分(内閣府告示第3号)。補助金の名称ごとに区分した別表に、財産の種類と年数が並びます |
| 型B 省令(交付規則)の別表 農林水産省(農林畜水産業関係補助金等交付規則 第5条・別表)、総務省(総務省所管補助金等交付規則 第8条・別表)、国土交通省(国土交通省所管補助金等交付規則 第11条・別表第三)、デジタル庁(デジタル庁所管補助金等交付規則 第9条・別表)。e-Gov法令検索で本文を読めます |
| 型C 補助金ごとの交付規程・要綱・通知 本記事で確認したものでは、環境省所管の補助金の交付規程8本、SIIが執行する令和7年度補正予算の省エネ補助金の交付規程2本(第25条)、国土交通省住宅局が関わる3事業の通知・募集要領・手引き、厚生労働省の交付要綱1本がこの型でした。年数そのもの、または年数の決め方が、その補助金の規程に直接書かれています |
型Aと型Bは「省の一覧表」です。型Cには一覧表がなく、補助金ごとに規程を開くしかありません。どの型かは省で一律に決まるわけではなく、同じ省の中でも補助金によって変わります。次の章で省庁ごとに見ていきます。
省庁別:処分制限期間の年数表がある場所(一覧)
ここでは、エネルギー設備や建築物の省エネに関わる補助金を出している主な省庁を取り上げます。防衛省(防衛施設周辺対策事業の補助金に限った交付規則。平成19年防衛施設庁告示第9号)や財務省(酒類関係の補助金に限った令和3年財務省告示第114号)のように、一部の補助金だけを対象にした告示を持つ省もありますが、ここでは扱いません。
経済産業省の処分制限期間
省としての年数表は、令和5年4月26日経済産業省告示第64号「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分を制限する期間」です(最終改正 令和7年5月2日経済産業省告示第77号)。経済産業省の一覧ページに、旧告示とあわせて掲載されています。
注意点は2つあります。ひとつは予算の年度で告示が変わることです。告示第64号は令和5年度予算に係る補助事業等で取得した財産から適用され、令和4年度以前の予算に係る財産には、廃止された昭和53年8月5日通商産業省告示第360号が引き続き適用されます(なお従前の例による)。
もうひとつは、執行団体の交付規程が別の書き方をしている場合があることです。SIIが執行する令和7年度補正予算の省エネ補助金は、公募要領が「省エネルギー投資促進支援事業費補助金交付規程」と「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金交付規程」の2本を挙げており、どちらも第25条第2項で次のように定めています。
「取得財産等の処分を制限する期間は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)に定められた期間とする。」
この2本の交付規程には「告示」の語が一度も出てこず、年数の別表もありません。同事業の公募要領(2次公募用)も「処分制限期間とは、導入した機器等の法定耐用年数(減価償却資産の耐用年数等に関する省令…に定める年数)の期間をいう」と説明しています。交付規程と公募要領の字面からは、告示第64号の別表を別途参照する建て付けは読み取れません。告示第64号の別表には、エネルギー関係の補助金名も載っています。「経済産業省の補助金だから告示第64号を見ればよい」とも、「SIIの補助金だから耐用年数省令」とも一括りにはできず、補助金ごとに交付規程を確かめる必要があります。
環境省の処分制限期間
本記事で確認した範囲(環境省の財産処分の案内ページ、承認基準、事務処理手引、公募要領、交付規程8本)では、環境省に省として処分制限期間の年数を並べた告示や省令の別表は見当たりませんでした。「環境省所管の補助金等で取得した財産の処分承認基準について」(平成20年5月15日環境会発第080515002号、最終改正 令和5年9月1日)は、承認の手続と条件を定める基準で、年数の表は持っていません。
年数は、補助金ごとの交付規程で定められています。二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の交付規程(執行団体は一般財団法人環境イノベーション情報機構など)を年度順に見ると、書き方が変わっています。
| 環境省所管の補助金の交付規程にある、処分制限期間の書き方 |
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| 令和2〜4年度の交付規程(例:令和4年度 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業) 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)で定める期間を経過するまで」 |
| 令和7年度の交付規程(例:令和7年度補正予算 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業等) 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)を勘案して、大臣が別に定める期間を経過するまで」 |
| 先進的窓リノベ2026事業の交付規程(脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金。執行はSIIを代表幹事とする共同事業体) 第18条第2項「補助金の交付の目的及び減価償却資産の耐用年数等に関する省令…に定める耐用年数を勘案し、10年間とする。」 |
令和7年度の交付規程は、耐用年数省令そのものではなく「大臣が別に定める期間」と書いています。この期間がどこで示されているかは、交付規程の中には書かれていません。同じ補助金の公募要領は「処分制限期間(法定耐用年数)」と案内していますが、交付規程の「大臣が別に定める期間」との関係は、公表資料からは確認できませんでした。また窓リノベ2026のように、耐用年数省令を「勘案」したうえで年数を10年に固定している補助金もあります。環境省の補助金では、その補助金の交付規程と公募要領を開いて確認する必要があります。
国土交通省の処分制限期間
国土交通省所管補助金等交付規則(平成12年総理府・建設省令第9号)第11条は「令第十四条第一項第二号に規定する期間は、別に定めるもののほか、別表第三に掲げるものとする」と定めています。ただし別表第三に載っているのは、水防警報施設費、雪寒地域道路事業費(建設機械整備費に限る)、下水道事業費、公園事業費、河川総合開発事業費・治水ダム等建設事業費、水道施設整備費・水道水源開発等施設整備費の6区分(補助金名では8つ)だけです。
住宅や建築物の省エネに関わる住宅局の事業は、別表第三に載っておらず、事業ごとの通知・要綱・規程で年数を定めています。本記事で確認した3事業は、10年または6年を基本の年数としつつ、既設改修型や耐用年数が10年未満の設備などには耐用年数を勘案する定めを置いていました。
| 国土交通省住宅局が関わる事業にある処分制限期間の例 |
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| スマートウェルネス住宅等推進事業等 事業を完了した日(補助対象財産の管理を開始した日)から10年。ただし既設改修型は、当該財産の耐用年数を勘案して判断するとされています(平成30年7月13日国住心第141号、一部改正 令和7年3月31日。報告で足りる場合の要件の中で定義) |
| サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型) 補助事業完了後10年間。耐用年数省令で耐用年数が10年未満のものは、その耐用年数(令和6年度募集要領【Ver.2】。年度によって変わる可能性があります) |
| 子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省・環境省の合同事業) 補助事業の完了(完了報告の提出)から、GX志向型住宅は6年間、長期優良住宅・ZEH水準住宅は10年間(交付申請の手引き 新築・2026年7月3日版) |
なお、国土交通省の財産処分承認基準のページに並ぶ通知(本記事では11本を確認)は、いずれも年数の表ではありませんでした。
農林水産省の処分制限期間
農林畜水産業関係補助金等交付規則(昭和31年農林省令第18号)第5条が「令第十四条第一項第二号に規定する期間は、別表に掲げるとおりとする」と定め、別表に補助金の群ごとの年数が並びます。手続は「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(平成20年5月23日20経第385号、最終改正 令和8年4月30日)が定めています。
この承認基準には、経過年数(何年使ったか)を定義する条文が見当たりません。年数の数え方に関わる言い回しとしては、長期利用財産を「補助目的に従った利用により10年を経過したもの」とする箇所(第2条第五号。第4条第4項には「10年を経過していない」という言い回しがあります)や、利用が困難になった建物等について「取得し、又は効用の増加した時から」処分制限期間の5分の1を数える箇所(第6条第2項)があり、間接補助に関する条にも同じ趣旨の言い回しがあります。
文部科学省の処分制限期間
平成14年3月25日文部科学省告示第53号が、処分を制限する財産と処分制限期間を定めています。文部科学省が公開している告示のPDFには、最終改正として令和4年7月14日文部科学省告示第102号が記載されています(それより後の改正の有無は、本記事では官報で確認できていません)。この告示は、処分を制限する財産のうち機械及び重要な器具を「取得又は効用の増加価格が一個又は一組五十万円以上のもの」と、金額の線まで告示の中に書いているのが特徴です。
告示第53号は昭和60年文部省告示第28号を廃止し、附則で平成13年度予算に係る財産から適用するとしています。文部科学省施設助成課の「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)の例示表は、平成12年度以前の財産には昭和60年の告示の年数を当てる前提で、新旧の年数を並べています。
厚生労働省の処分制限期間
平成20年7月11日厚生労働省告示第384号「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分制限期間」が別表で年数を定めています(最終改正 令和8年3月9日厚生労働省告示第81号)。改正のたびに適用する予算年度を区切っているので、どの年度の補助金かで参照する版が変わります。厚生局のサイトには古い版のPDFが残っている場合があるため、厚生労働省の法令等データベースの現行版で確認するのが確実です。
一方で、補助金の交付要綱が年数を直接定めている例もあります。エネルギー設備とは別分野ですが、既存不適合機械等更新支援補助金の交付要綱(令和3年3月26日施行)第22条第2項は、期間を「補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間経過するまで」としています。
総務省・デジタル庁・こども家庭庁の処分制限期間
総務省は総務省所管補助金等交付規則第8条と別表、デジタル庁はデジタル庁所管補助金等交付規則第9条と別表(対象はパソコン等の器具・備品とソフトウェアのみ)、こども家庭庁所管分は内閣府告示第3号の別表です。総務省でも、たとえば放送ネットワーク整備支援事業費補助金では、交付要綱の補足事項(平成29年2月8日)が、交付要綱の「大臣が別に定める財産の処分制限期間」を耐用年数省令に規定される耐用年数に相当する期間としています。
| 省庁別:処分制限期間の年数がある場所(まとめ) |
|---|
| 経済産業省 告示第64号(令和5年度予算から)/告示第360号(令和4年度以前)。SII執行の令和7年度補正の省エネ補助金は交付規程第25条(耐用年数省令に定められた期間) |
| 環境省 確認した範囲では省の年数表なし。補助金ごとの交付規程(耐用年数省令で定める期間/大臣が別に定める期間/10年固定など) |
| 国土交通省 交付規則 別表第三(6区分・補助金名では8つのみ)。住宅局が関わる事業は事業ごとの通知・募集要領・手引き(確認した3事業は10年・6年を基本に、耐用年数を勘案する例外つき) |
| 農林水産省 農林畜水産業関係補助金等交付規則 第5条・別表 |
| 文部科学省 告示第53号(平成13年度予算以降) |
| 厚生労働省 告示第384号(改正ごとに適用年度あり)。交付要綱で年数を固定している補助金もある |
| 総務省・デジタル庁・こども家庭庁 それぞれの交付規則の別表/内閣府告示第3号。総務省には補助金ごとの補足事項で年数の決め方を定める例もある |
太陽光発電設備の処分制限期間は、現行の一覧表には載っていない
「太陽光 処分制限期間」と調べても、省の一覧表では答えに着きません。本記事で確認した現行の経済産業省告示第64号・厚生労働省告示の別表、文部科学省告示(確認できた令和4年7月改正までの版)の別表、農林水産省・総務省・国土交通省の交付規則の別表の本文には、「太陽光発電設備」という行はありません。
例外は、令和4年度以前の予算に係る財産に今も適用される経済産業省の旧告示第360号です。その別表の区分「一」(多数の補助金名が五十音順に並び、財産の表はその全体に掛かります)の建物附属設備・電気設備には「太陽光発電設備 一五」の行がありました。区分「一」以外の区分にはこの行はなく、現行の告示第64号では区分「一」からも消えています。
これらの表の多くに出てくるのは、建物附属設備の電気設備の下にある「蓄電池電源設備 六年」と「その他のもの 十五年」です(国土交通省の別表第三の下水道事業費補助のように、電気設備が10年の1行だけの区分もあります)。ただし、太陽光発電設備や定置用蓄電池をどの行に当てるかは、表の側には書かれていません。
実務で年数が示されているのは、補助金の公募要領やQ&Aです。たとえば環境省のストレージパリティ補助金のQ&A集(執行団体の環境イノベーション情報機構が掲載)は、太陽光発電設備の法定耐用年数を耐用年数省令に基づき17年(別表第二・31電気業用設備・その他の設備・主として金属製のもの)とし、「本補助金の申請においては、一律で上記の法定耐用年数が適用されます」としています。文部科学省施設助成課の「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)の例示表にも「太陽光発電システム」17年の行がありますが、ハンドブックはこの17年を告示第53号に基づく列に載せていますが、本記事で確認した告示の版(令和4年7月改正まで)の別表には該当する行が見当たらず、17年がどの行に由来するかは特定できていません。太陽光発電設備の年数は、省の一覧表ではなく、その補助金の公募要領・交付規程で確認するのが確実です。
処分制限期間の起算日・数え方も、省庁と補助金で違う
何年の期間かが分かっても、いつから数えるかが違えば、期間が明ける日は変わります。処分制限期間の起算そのものを書いた例として、確認できたものは次のとおりです。
| 処分制限期間の起算の書き方 |
|---|
| 文部科学省施設助成課(公立学校施設関係)の「財産処分手続ハンドブック」Q.66 処分制限期間の起算日は「補助事業完了の翌年度の4月1日(1年未満の端数は切り上げ)」、期間は「最終年の3月31日まで」 |
| 国土交通省住宅局が関わる事業 「…事業等を完了した日(補助対象財産の管理を開始した日をいう。…)から」(スマートウェルネス)、「補助事業完了後」(サステナブル建築物等先導事業)、「補助事業の完了(完了報告の提出)から」(子育てグリーン住宅支援事業)と、事業ごとに書き方が違う |
| 厚生労働省の交付要綱の例 「補助事業の完了の日の属する年度の終了後5年間経過するまで」 |
このほか、環境省の承認基準と経済産業省の通達は、経過年数を定義しています。経済産業省の通達(平成16・06・10会課第5号)は「処分制限財産の使用開始の日からの経過年数」とし、特例の適用に使います。環境省の承認基準は「補助目的のために事業を実施した年数」とし、特例の適用と国庫納付額の算定に使います。農林水産省の承認基準には、経過年数を定義する条文が見当たりません。
「補助事業の完了から何年」と一括りにすると外れます。公立学校施設関係のように年度単位で数える方式と、管理開始日や完了報告の日から数える方式では、同じ年数でも期間が明ける日がずれます。
「10年たてば自由に処分できる」わけではない
環境省の承認基準と経済産業省の通達には、「経過年数が10年以上」という線が、少なくとも次の場面で出てきます。環境省の通知は、概ね10年を経過した補助対象財産については補助目的を達成したものとみなし、承認手続を弾力化する趣旨を述べており、その具体化がこれらの規定です。
| 「経過年数10年以上」が出てくる場面 |
|---|
| 地方公共団体が行う一定の財産処分(有償譲渡・有償貸付を除く) 環境省の承認基準では、報告をもって承認があったものとみなす(包括承認)の要件の一つ |
| 地方公共団体以外の者が行う財産処分 環境省の承認基準は、当該事業に係る社会資源が地域で充足していることを前提に、経過年数10年以上の施設等を引き続き公共の事業に使用する場合や、国・地方公共団体へ無償譲渡・無償貸付する場合などに、国庫納付の条件を付さずに承認するとしています(第3の2(1)イ)。経済産業省の通達は、経過年数10年以上で国又は地方公共団体の補助事業・委託事業等に使用するための財産処分(有償譲渡・有償貸付を除く)などについて、国庫納付の条件を付さないことができるとしています(5(2)②) |
| 国庫に納める額の算定 有償譲渡・有償貸付の一部の類型で、納付額の計算方法が変わる(環境省の承認基準 第4の1) |
どれも条件付きで、承認や報告の手続が不要になるわけでも、処分制限期間が10年に縮むわけでもありません。環境省の承認基準と経済産業省の通達では、地方公共団体以外の者(民間事業者など)の財産処分は、10年を過ぎていても、公共の事業への継続使用などの例外に当たらなければ、国庫納付の条件を付けて承認する扱いが原則です。他の省の基準には別の構造のものもあるため、その補助金の所管省の基準で確認してください。手続の詳しい読み方はこちらの記事で解説しています。一方で、窓リノベ2026のように処分制限期間そのものを10年と定めている補助金や、スマートウェルネス住宅等推進事業のように、報告で足りる場合の要件として10年を「処分制限期間」と呼んでいる例もあります。同じ「10年」でも意味が違う点に注意が必要です。
処分制限期間を確認する順番
ここまでを踏まえると、自社の設備の処分制限期間を確かめる順番は次のようになります。
- その補助金の交付規程の「取得財産等の処分の制限」などの条を開く。年数、または年数の決め方(耐用年数省令の期間、固定年数、大臣が別に定める期間など)が書かれていることがある
- 公募要領・Q&A・交付申請の手引きで、設備ごとの年数や起算の説明を確認する。太陽光発電設備や蓄電池の年数は、ここで示されていることがある
- 交付規程が省の基準に送っている場合や、交付規程に年数の手がかりがない場合は、省の告示・交付規則の別表を見る。その際は、補助金の予算年度に対応する版かどうかを確認する
- 処分の手続や国庫に納める額は、各省の財産処分承認基準と交付規程で確認し、事前に執行団体・所管窓口に相談する
処分に当たる行為の範囲や、返す額が残存簿価で決まるのか年数で決まるのかといった点は、補助金で入れた設備を、処分制限期間内に売る・移す・捨てるときにまとめています。エネルギー・脱炭素分野で公募中の補助金は、当サイトの一覧で横断的に確認できます。補助金一覧を見る
出典
- e-Gov法令検索「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令」(昭和30年政令第255号)第9条・第13条・第14条(2026年10月18日閲覧)
- 経済産業省「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産に関する通達等」(2026年10月18日閲覧)
- 経済産業省「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分を制限する期間」(令和5年経済産業省告示第64号・最終改正 令和7年経済産業省告示第77号/2026年10月18日閲覧)
- 経済産業省「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分を制限する期間」(昭和53年通商産業省告示第360号/2026年10月18日閲覧)
- 経済産業省「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(平成16・06・10会課第5号・最終改正 令和元年5月7日/2026年10月18日閲覧)
- 一般社団法人環境共創イニシアチブ「省エネルギー投資促進支援事業費補助金交付規程」第25条(2026年10月18日閲覧)
- 一般社団法人環境共創イニシアチブ「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金交付規程」第25条(2026年10月18日閲覧)
- 一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和7年度補正予算 省エネ・非化石転換補助金(設備単位型)公募要領(2次公募用)」(2026年10月18日閲覧)
- 環境省「環境省所管の補助金等で取得した財産の処分承認基準について」(環境会発第080515002号・最終改正 令和5年9月1日/2026年10月18日閲覧)
- 一般財団法人環境イノベーション情報機構「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業)交付規程」第8条(2026年10月18日閲覧)
- 一般財団法人環境イノベーション情報機構「令和7年度(補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金及び地域脱炭素推進事業費補助金(地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業等)交付規程」第8条(2026年10月18日閲覧)
- 一般財団法人環境イノベーション情報機構「同事業 二次公募 公募要領」(2026年10月18日閲覧)
- 先進的窓リノベ2026事業共同事業体「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業)交付規程」第18条(2026年10月18日閲覧)
- 一般財団法人環境イノベーション情報機構「令和6年度補正予算および令和7年度予算 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 Q&A集」問4-7(2026年10月18日閲覧)
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- e-Gov法令検索「農林畜水産業関係補助金等交付規則」第5条・別表(2026年10月18日閲覧)
- 農林水産省「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(20経第385号・最終改正 令和8年4月30日/2026年10月18日閲覧)
- 文部科学省「補助事業者等が補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産のうち処分を制限する財産及び補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分制限期間」(平成14年文部科学省告示第53号/2026年10月18日閲覧)
- 文部科学省 大臣官房文教施設企画・防災部施設助成課「財産処分手続ハンドブック」(令和8年3月)Q.66・処分制限期間例示表(2026年10月18日閲覧)
- 厚生労働省「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分制限期間」(平成20年厚生労働省告示第384号/2026年10月18日閲覧)
- 厚生労働省「既存不適合機械等更新支援補助金交付要綱」第22条(2026年10月18日閲覧)
- e-Gov法令検索「総務省所管補助金等交付規則」第8条・別表(2026年10月18日閲覧)
- 総務省「放送ネットワーク整備支援事業費補助金交付要綱について【補足事項】」(平成29年2月8日/2026年10月18日閲覧)
- 防衛省「防衛施設周辺対策事業補助金等交付規則」(平成19年防衛施設庁告示第9号/2026年10月18日閲覧)
- 財務省「令和3年財務省告示第114号」(2026年10月18日閲覧)
- e-Gov法令検索「デジタル庁所管補助金等交付規則」第9条・別表(2026年10月18日閲覧)
- 北海道厚生局「こども家庭庁所管分(内閣府告示第3号)」(官報 令和8年1月16日号外第9号の写し/2026年10月18日閲覧)
ご利用にあたって
本記事は2026年10月時点で確認できた公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の補助対象財産の処分制限期間、処分の可否、国庫納付の要否や金額を判断・保証するものではありません。告示・交付規則・交付規程・公募要領は改正されることがあり、同じ省庁でも補助金や予算年度によって参照すべき書類が異なります。
実際のご判断にあたっては、必ずその補助金の交付規程・交付決定通知・公募要領等の公式資料を確認し、執行団体または所管省庁の窓口にご相談ください。当サイトは情報提供のみを行っており、補助金の申請代行や個別のコンサルティングは行っていません。詳しくは免責事項をご覧ください。